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とくに、K政権以降、それまでの族議員と官僚中心の政策立案から、首相官邸が外部有識者の知識と見識を活用しながら政策を進めていく方向に政治の意思決定プロセスが大きく変わってきています。 こうした会議に呼ばれる「専門家」、「有識者」は、従来、大学の先生やシンクタンクの研究者などが中心でした。
ところが、ここ数年、こうした「審議会」、「有識者会議」で中心的な役割を果たし、ひときわ異彩を放つ人々がいます。 それが、「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルティング」といった外資系コンサルテイング会社のコンサルタントたちです。
K内閣においては、構造改革が政策の中心でしたが、そこには三人のマッキンゼーのコンサルタントが深く関与しています。 一人目は、「規制改革・民間開放推進会議」の本田桂子さん。
彼女は、マッキンゼーでは役員にあたる「プリンシパル」の役職にあり、一児の母でもあります。 2人目は、K子さん。
彼女は、猪瀬直樹氏とともに「道路関係4公団民営化推進委員会」の委員として活躍されました。 彼女は、2児の母であり、マッキンゼーだけでなくW大学大学院教授も兼務するスーパー・ウーマンです。
その時間のマネジメント法を著した『K子の時間管理革命』(T経済新報杜)という本でも注目されています。 さらに、K首相が「改革の本丸」と位置づけた郵政民営化においても、マッキンゼーのプリンシパルが中心的役割を果たしました。
U氏です。 同氏は、「郵政民営化に関する有識者会議メンバー」として、郵政公社を民営化することだけでなく、「持株会社」、「窓口(ネットワーク)会社」、「郵便会社」、「郵貯バンク」、「保険会社」へ分割する案を強く主張しました。

こうした傾向は、日本だけの状況ではありません。 世界的に見ても、とくに固有企業の民営化のプロセスにおいては、政府がコンサルティング会社の智恵と経験を借りて政策を立案することが多いのです。
それだけでなく、民営化後の経営にもコンサルタントが関与するケースが散見されます。 たとえば、わが国が民営化の手本とし、世界的にも成功例と言われているドイツ・。
ホストにおいても、民営化後の経営陣のうち6名がマッキンゼー出身者で占められています。 じつは、これと同じことが日本でも起こりました。
U氏が、民営化される「郵政」の経営者になるのです。 20O7年10月に予定されている郵政民営化に向け、その準備・企画会社として2006年2月に、「日本郵政株式会社」が発足しました。
同社のトップに就任したM銀行元頭取のN善文氏は、2006年3月、9名の執行役員を選任しました。 その中に、郵政省や金融庁の官僚やN元頭取の出身母体であるM銀行のOBらに混じって、郵政民営化を強く主張してきたマッキンゼーの字国左近氏の名前がありました。

U氏は、今後、「コンサルタント」としてではなく、の経営者として、郵政民営化の実務にあたることになります。 ここで、本題から少し離れていいと思います。
郵政は、明治の初頭に国家事業として始まったものであり、その民営化というのは、国鉄の分割民営化と並んで、国家的な大事業です。 「郵便」という通信手段を全国津々浦々、どんな過疎地であっても行き渡らせるということは近代国家の基本的な責務とされてきました。
そして、行っているHという信頼感・安心感をベースに、国民から貯蓄を集める「貯金」事業、保険を売る「保険」事業を併営してきました。 そして、その国家保証付きの金融商品販売により、鉄道や道路などのインフラ整備を行う巨額の資金をまかなってきたのです。
いまや、「郵便貯金」と「簡易保険」は、それぞれ世界一の規模を持つ「銀行」と「保険会社」となっています。 両者を合計した資金量は、2006年3月末で25兆円にのぼります。
これは、わが国の個人金融資産15OO兆円の約5分の一を集めている計算です。 2006年七月末、政府は民営化時の郵貯・簡保の予想される事業規模を公表しました。
それによれば、20O7年の10月に誕生する「ゆうちょ銀行」の資金量は20O兆円、「かんぽ生命保険」の総資産は114兆円になるとされています。 この「ゆうちょ銀行」の資金量は、三大メガバンクと呼ばれるM銀行、M銀行、M銀行をすべて合わせた金額218兆円とほぼ詰抗し、世界最大の「銀行」となりますこのように「郵政グループ」各社は、明治維新以降、私たちの社会が築き上げてきた資産やネットワークを持っており、これを民営化後、次世代にどのように活かしていくか、というのは国家的テーマです。
一方で、金融機関として見た場合、「郵貯銀行」と「簡保会社」も、きわめていびつで異形な存在です。 すなわち、貯金や保険料として集めた資金を、みずから運用した経験が一度もないのです。
30O兆円という膨大な資金は、財政投融資に回され、日本政策投資銀行や日本輸出入銀行といった政府系金融機関による投融資や公共事業に使われてきました。 「郵貯」「簡保」は、ただ集めるだけだったわけです。
こうしたことから、民営化後の「郵貯銀行」と「簡保会社」について、先行きを危ぶむ声が出ています。 つまり、プロの金融機関でさえ不良債権処理で苦しみ、市場運用の世界では欧米の金融機関ときびしい戦いをしている中に、貸出や資金運用の経験がまったくない「郵貯銀行」と「簡保会社」が入っていって大丈夫なのか、という点を不安視する声が根強くあるのです。

しかも、「郵政グループ」には、24万人の従業員が働いています。 さらに、関係会社や家族などを含めれば、膨大な数の生活を維持するためには、事業に失敗することが許されないだけでなく、預かり資金量などの事業規模を縮小することも、かなりの痛みを伴うことになります。
こうしたことから、K政権の下で決まった「郵政民営化」という大プロジェクトを、さまざまな制約の中で、現実にどのように実現していくのかは、きわめて大きな課題です。 そのチャレンジの一翼を、「外資系コンサルティング会社」の出身者が担うことになったわけです。
このように、「外資系コンサルタント」は、政策立案だけではなく、政策実現にまで、関与するようになっています。 さて、政府はこうした「外資系コンサルタント」に何を期待しているのでしょうか?「コンサルタントの智恵」については、第3章で詳しく見ていきますが、まず、考えられるのは、ロジカル・シンキング(論理的思考)に裏打ちされた「問題抽出能力」です。
郵政民営化を例にとれば、現状の郵政公社の何が問題なのか、どの課題から手をつけるべきか、といった点について、論点を整理し、関係者に共有化させるといった点で、コンサルティング会社の分析力や、可視化(見える化)する力、さらに、それを上手にプレゼンテーションする力(図表や文字で表現し説明する力)が求められています。 次に、「ベスト・プラクティスの紹介」です。
「ベスト・プラクティス」とは、そのテーマについての最善手のことです。 将棋でも囲碁でも、相手がこう指したら、次にはこうするのが最も良いという「定跡」(将棋の場合)や「定石」(囲碁の場合)が決まっています。
これは、何百年にも及ぶ数限りない対局の積み重ねから、経験則として導き出された「ベスト・プラクティス」です。

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